新潟古本屋日記

新潟市の古本屋、フィッシュ・オンのブログです。
古本屋をはじめてはやいものでもう10年。色々と移転しながら現在は沼垂テラス商店街で営業中です。ブログでは入荷した古本、おすすめ本、イベント出店の情報など更新しています。
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ベン・シャーン展を観に
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    新潟市美術館で開催されているベン・シャーン展を観てきた。

    ベン・シャーンは大好きな画家。

    すぐにでも観に行きたかったが、ちょっとためらってしまっていた。

    好きすぎて期待が大きすぎる分、逆にガッカリしたらどうしよう、と二の足を踏んでいたのだ。

    しかし開催期間は1か月半と短め。

    フィッシュ・オンの仕事として、ミュージアム・ショップ・ルルルに古本を納めているのだがうかうかしていたら、会期が終わって商機を逃してしまう。

    「なんとか週末までには納品しなくては…」という気持ちに背中を押され、ようやく開催3日目の6月18日に美術館を訪れることができた。

    当日は平日ということもあり、会場は人もまばらで、作品をみるにはちょうどよかった。

    いつも展示を観るときのスタンスはアーティスの作品よりはキャプションを読む方に重きをおいている。

    キャプションの情報から、展示のためにどんな古本を用意しようか手掛かりをえるため。

    (もちろん素晴らしい作品の前ではそんな考えはふっとんでしまうけど)。

    だけど今回の展示は事前に『芸術新潮 2012年1月号 ベン・シャーン「世直し画家」の真実』を読んでばっちり予習済み。

     


    集中して作品と向き合うために万全の態勢をととのえて鑑賞にのぞむ。

    危惧していことはまったくの杞憂だった。

    『芸術新潮』にはもちろん、自分がもっている画集にも載っていない未知の作品がたくさんあり感激しっぱなしだった。

    中でも紙にインクで描かれただけの作品に惹かれた。

    シャーンのふるえるような独特な線。

    雑誌や画集などに掲載された絵からではよくわからなかったインクの「にじみ」や「かすれ」。

    生身の人間だったシャーンの気配をありありと感じることができた。

     

    古本屋をはじめたばかりの二十代の頃、気になる本の装丁者の名前をみるとだいたい和田誠と記されていた。

    その和田誠が若き日に影響を受けた、ということでその存在を知ったベン・シャーン。

    当時はそのお洒落な雰囲気にばかり目を奪われていた。

    この日は作品に通底する「寂しさ」みたいなものにしみじみとなった。

    展示後半部の作品では、旧約聖書の詩篇やヘブライ語など、シャーンのルーツとなる普遍的なものから題材を得て、表現を新たにしてい作品にワクワクした。世のなかにはまだまだ、面白いものはたくさんあって、それを掘り起こす愉しみがあるんだぞって。

    まさに「温故知シャーン(新)」。

    この気持ちを忘れないために、いつもは買わない図録も購入。
     

     

    通常、美術館で販売されている図録よりふたまわりくらい小さいA5サイズ。

    展示されている作品に小品が多かったシャーンらしい。

    お値段も手ごろな1300円(税込)。

    シャーンの画集は絶版が多く、中古価格は高騰しがち。

    迷ったら買いですよ。

    それと、フィッシュ・オンが選んだシャーン関連本も納品しました(ちゃんと仕事だってする)。

    今はリルケの『マルテの手記』が読みたくてしょうがない。店にあったっけ?

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    | 沼垂じゃなくても買える(委託フィッシュ・オン) | 17:52 | comments(0) | - |
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